熟年夫婦の離婚には、どのようなメリット・デメリットがあるのか調べてみました。
離婚に至る原因や理由は100人100様なので、メリット・デメリットだけでは測れないかもしれません。
人生に迷った時、少しでも参考になればと思います。
熟年離婚とは
はじめに、熟年離婚について定義しておきます。
熟年離婚とは、長年連れ添った夫婦の離婚をさし、近年あらためて注目される機会が増えているように思います。
子供の成人がきっかけだったり、夫の退職だったりといったタイミングが多いようです。
芸能人の加山雄三さんや清水アキラさんが、結婚生活にいったん終止符を打って別々の人生を歩む選択を「卒婚」と形容し、さまざまな熟年離婚のカタチがあることが広まりました。
厚生労働省の統計データによれば、同居期間が20年以上の夫婦の離婚は平成11年までに上昇傾向にあり、その後落ち着いているということです。
参考:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/01.html
熟年夫婦が離婚するメリット3つ
熟年夫婦が離婚するメリットを3つ、あげてみたいと思います。
1.自由
自分の時間が増えることは、離婚の最大のメリットといえるでしょう。
離婚理由は何であれ、相手が嫌で離婚に至った人も円満に別れた人も、平等に感じることができるのが「独りの時間」です。
これからは24時間をすべて、自分のために使うことができるのです。
2.自分だけの意志で物事を決められる
これも「自由」の内の一つですが、家族がいれば意思決定はいつも、相手の同意を得る必要がありました。
住まいを決める時、大きな家電を買う時、もしかしたらビール1本買う時にも、パートナーにお伺いを立てなくてはいけない人もいたかもしれません。
でも、離婚で一人になったということは、お金や時間の使い方はすべて、自分で決めることができます。
3.もう一度「男」「女」としての人生をやり直せる
パートナーとの生活が長いと、必然的に相手を異性ではなく家族として接するようになりますね。
結婚生活から解放されることで、当然ですが再び独身に戻ります。
独身ということは、恋愛だって自由です。
勢いで結婚した人や、若くして結婚した人の中には、もう一度「燃えるような恋がしたい」という願望を持っている人は少なくないでしょう。
離婚によって、誰にも邪魔されない恋愛を思い切り楽しむことができます。
熟年夫婦が離婚することで得られるメリットを、極端に3つあげてみました。
結婚生活を不自由に感じない夫婦には、理解できないことばかりだと思います。
「たくさんの物を失ってまで、こんなことが理想なの?!」という声もあるでしょう。
でも、離婚という重い選択を本気で考えている人にとっては、これらのメリットはとても価値あるものに感じられるのではないでしょうか。
熟年夫婦が離婚するデメリット3つ
続いて、熟年夫婦が離婚するデメリットをこれまた3つ、あげてみたいと思います。
1.寂しい
どんな形であれ、夫婦そして家族がいる生活は、家の中に必ず誰かいる、もしくは誰かの気配があるのが当たり前でした。
それが離婚によって、必然的に一人ぼっちになります。
決して強がりではなく「最初は快適だ」という人が多いのですが、1ヶ月もたつとその感覚はむなしさに変わる人が多いようです。
熟年で離婚するくらいですから、数十年ぶりの独り暮らし、もしくは人生はじめての独り暮らしになるかもしれません。
独りでも大丈夫という精神的強さも、離婚後の生活には必要です。
2.介護問題
自分の介護の問題も切実です。
結婚生活では、パートナーが料理や健康管理をしてくれていたという人も多いでしょう。
また、生活がすべて自由なので、お酒の飲み過ぎやたばこの吸い過ぎを口うるさく指摘してくれる人は誰もいません。
気を引き締めて、これまで以上に自分自身の健康を管理していかなくてはなりません。
子供がいて頼れる環境にあったり、介護付き老人ホームに入れるくらいの資金があれば別ですが、「もし自分に何かあったら」という危機管理意識を常に持っている必要があります。
3.金銭的不安
夫婦生活で、生活費はほぼパートナーに依存していたという人は、金銭的不安があるでしょう。
専業主婦(主夫)だった場合、結婚生活において築き上げてきた財産は分与の対象になります。
家や車、家具家財、貯金や年金、退職金についてもです。
離婚後の死活問題になるので、きちんと弁護士などの専門家を立てて話し合うことをおすすめします。
熟年夫婦が離婚することによるデメリットを、これまた極端に3つあげてみました。
「20年以上我慢してきたし、、あと10年ちょっとだと思えば…」と考える夫婦もいるでしょう。
離婚によって得られるメリットとデメリット両方を考えた時、あなたにとって重いのはどちらでしょうか。
実は離婚に踏み切る人たちも、このような条件をオールクリアしているわけではない場合がほとんどです。
わずかな傾きで舵を切った結果が、現状です。
若い夫婦と違って、勢いだけで簡単に決めることは難しいですね。
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熟年夫婦の離婚「それぞれの理由」体験談
今回、特別に熟年離婚を経験した3名から体験談を伺いましたので、紹介したいと思います。
10年20年以上連れ添った熟年夫婦が離婚という選択をすることには、様々な理由があるようです。
Aさん:女性
離婚当時:54歳 専業主婦
離婚原因:夫のモラハラ
娘が生まれてすぐくらいから、元旦那から嫌がらせをされるようになりました。
1日のタイムスケジュールが分刻みで決められて、ノルマをこなせないと一晩中ののしられるような生活です。
仕事もさせてもらえなかったので、せめて娘が独立するまではと思ってずっと耐えてきました。
私が54歳の時、娘が就職して上京したタイミングで、私は別居と同時に弁護士を立てて離婚に踏み切りました。
元旦那も相当ごねたので完全に籍を抜くまで数年かかりましたが、別れて本当に良かったと思っています。
専業主婦で働いたことがなく収入面の不安はありましたが、人間、追い詰められれば何とかなるものです。
今は極貧生活ですが、結婚してた時の30年と比べたら天国のようです。
Bさん:男性
離婚当時:65歳 無職
離婚原因:妻のストレス
離婚の理由は、退職してから私がずっと家にいたことだと妻は言っておりました。
朝起きて散歩に出かけ、昼間はテレビの前で過ごし、夜寝るという生活です。
妻は私が家の中にいるということだけで、相当なストレスだったようです。
別に昼食の支度などは自分から頼んでませんでしたが、普通に用意されていたので、離婚を切り出されたときは寝耳に水という感じでした。
妻は相当前から準備をしていたようで、トントン拍子に手続きが進められ、気づいた時には私一人ぼっちです。
40年近く妻に頼りっきりだったので、恥ずかしながら家のことや電気水道などのライフラインの手続きも、わからない状態です。
この先どうやって生きていけばいいのか、離婚後半年経ちますがまだわかりません。
Cさん:女性
離婚当時:60歳
離婚原因:第二の人生
うちの場合は「卒婚」というやつです。
元夫とは同じ年ですが、お互い55歳になった時に、今後の人生について話し合いました。
夫は、退職金でサラリーマン時代から夢だった蕎麦屋をやりたいといい、私は叔母のいるシンガポールに住んでみたいという希望があり、それならば残りの人生好きなことをやろうということになりました。
60歳で夫が退職したタイミングで親族を集めて「離婚式」というものをしました。
単なる食事会ですが、私たちの思いを説明し、これからも何かあったら助け合っていくことを皆の前で誓いました。
元夫とは、今でも月に数回は電話しています。
すごくわかり合える兄弟のような親友のような存在なので、この先一人でも不安はありません。
離れてからの方が、お互い思いやりが持てるようになった気がします。
以上、熟年離婚を経験した3名から体験談を語ってもらいました。
自分を重ね合わせるような体験をされた方もいるかと思います。
いつ何をどう選択するかは、あなたの問題です。
普段知りえない他人の夫婦事情を垣間見ることのできた、体験談の紹介でした。
まとめ
結婚もそうでしたが、離婚は特に、メリット・デメリットだけでは測りえないものです。
自分の気持ちに嘘をつくことはできません。
人生も折り返しを過ぎて、自分のこれからの在り方を改めて考える人も多いと思います。
決して軽率にならず、そのうえで後悔しない最良の選択ができますように。