60歳を超えて引きこもり・ニート生活を送る「高齢ニート」「年金パラサイト」が社会問題になっています。
親も高齢となり、いつ独り取り残されるか、そんな不安を抱えながら生きていくのは辛いものです。
そこで今回は、60代の引きこもり・ニート生活者について調べてみました。
引きこもり・ニートの現状
はじめに、ひきこもりやニートの現状についてわかったことです。
本来ニートとは、「非労働力人口(就業者でも失業者でもない人々)のうち、年齢15~34歳、学卒、未婚者であって、家事・通学をしていない者」と定義されていました。
※『平成17年版 労働経済の分析』厚生労働省
一度ニートになると、そこから抜け出すのはかなり困難といわれているため、ニートのまま年を重ねることとなります。
そこで問題となっているのは、ニートの高齢化です。
東京大学社会科学研究所、玄田有史氏の調査によれば、就労しない非労働力人口の比率は、1998年以降、30代、40代、50代の男性で上昇傾向にあるということがわかっています。
このような人たちは、近年では高齢ニートと呼ばれ、社会問題化しています。
引きこもりの高齢化は「80代の親と50代の子」という意味から「8050問題」という言葉で表されることもあります。
80を過ぎた高齢の親の年金収入で暮らしている彼らは、親が亡くなった後、生活の糧を失うことになります。
一昔前なら、60歳を過ぎた無職といえば、定年またはリタイヤして年金生活を悠々自適に送るシニアの理想の暮らしでもありました。
でも、現在は違います。
60歳といえばまだまだ現役、再任用や再雇用、またはパートやアルバイトでまだまだ稼げるお年頃です。
人生80年といわれているので、あと20年分の生活費が必要なのです。
つまり、60過ぎてニートや引きこもりを続けていくには、様々な問題が山積みとなっているといえます。
引きこもり・高齢ニートで困ること
60代の引きこもり・ニートが直面する、さまざまな困難を考えてみます。
大きく分けると2つ、金銭面と社会面があげられるでしょう。
では、それぞれ具体的にみていきます。
金銭面
引きこもりやニートは基本的に家から出ないので、もちろん就労収入がありません。
※トレーダーやネットを使って自宅でできる仕事をしている人は、ここに含みません。
多くは、親と同居し、親の年金収入やバイト収入で衣食住が保障されている、ある意味快適な生活を送っていることでしょう。
でも、親は確実に年をとっていき、いずれ自分より早く亡くなります。
問題は、両親が亡くなって自分一人になってしまった時です。
賃貸住宅の場合は家賃が払えず追い払われるでしょうし、持ち家の場合でも相続税の問題があるので、そのまま住み続けることが難しい状況も十分あり得ます。
年金受給者である親が亡くなればもちろん年金もストップされるので、お金が無くなります。
住むところもお金もないとなったら、行く末はホームレス…というのも避けられないかもしれません。
社会面
続いて社会面です。
ひきこもりやニートは、基本的に家族以外とは関わらないため、社会から逸脱した存在です。
そんな生活を10年20年続けていれば、当然一般社会に馴染むことは簡単ではありません。
高齢の親亡き後、税金や保険、社会保障など諸々の手続きはできるでしょうか。
「親が死んだら生活保護を受ければいい」という引きこもりの人たちもいるようですが、生活保護とはどういった制度なのか、申請はどのようにすればいいのか、しっかり理解できているでしょうか。
引きこもりやニートの人たちの自立支援をサポートしている団体もたくさんありますが、このような存在を知っているでしょうか。
社会性の乏しい高齢ニートにとって、たとえこれらの仕組みがわかっていたとしても、実際にコンタクトを取ったり行動に移すことは、かなりハードルが高いこだとといえるでしょう。
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有識者は「働く」ことを迫り、自助団体を勧めるが…
高齢の引きこもりやニート問題に、文化人や研究者などは「働く環境を提供する」だとか「自立支援をサポートする場が必要」といいますが、果たしてそれで解決するでしょうか。
ここで問題としている引きこもりやニートは、「働きたくても働けない」「事情があって働けない」人たちではありません。
「働きたくない」「家から出たくない」という、ある意味、積極的な引きこもりやニートです。
日本国憲法では、「基本的人権の尊重」が保障されていますので、「嫌だ」という人を強制力で無理やりどうにかすることはできないのです。
(国民の三大義務に「勤労」「納税」があるのも無視できないという矛盾もありますが……ちなみにあと一つは「教育」です)
それならこの問題をどうしたらいいか、ということについて、まだ「これだ!」という解決策はないのが現状です。
さかのぼれば、親の育て方だとか、義務教育でのライフプランニング教育だとかに責任を押し付けることはできますが、問題は今この現状ですからね。
そこで、当サイトシャイニアの個人的意見を述べさせていただくと、大切なのはまず「とにかく外に出る」ことだと思うのです。
引きこもっていると季節に鈍感になってしまいますが、同じ夏でも暑い日もあれば、上着が必要なくらい肌寒い日だってあるのです。
小さい子からお年寄りまで、いろんな人がそれぞれの生活を背負って、歩いています。
外の世界を知れば、何かしら興味を持てるものが見つかるかもしれません。
どんな小さなことでもいいから外の世界に興味を持つこと、これが何かのきっかけになる可能性は十分あります。
外に出て、ささいな気づきを積み重ねること、これが心のリハビリになると思うのです。
少しでも「この生活やめようかな」と思ったら、お住いの自治体に相談すれば、対応してくれますよ。
「自治体に相談」する具体的な方法
自治体とは、市役所や区役所のことです。
福祉課や福祉事務所があるので、まずはそこを訪ねましょう。
電話の場合には、まず総合受付・代表番号にかけて、福祉課や福祉担当を呼び出してもらいます。
緊張しなくて大丈夫、相手はプロです。
同じような相談は数えきれないほど受けているので、あなたの相談にもちゃんと耳を傾けてくれるはずですよ。
まとめ
60代で引きこもりやニートを続けていくのは、普通の生活をするよりある意味覚悟が必要です。
「この先どうやって引きこもり続けようか」という、親の寿命を気にしながらニート生活を送るストレスは並大抵ではありません。
だからこそ、提案します。
普通の生活の方が、うんと楽しいし、うんとラクです。
社会生活は想像するより全然難しいものではありません。
この記事を読んだら、とりあえず窓を開けて、外の空気を思いっきり浴びてみてください。